小売業「経営」の生きた教科書しまむら藤原秀次郎研究
商業界12月号
とても勉強になる特集が組まれているので、面白いところをつまみ食いしようと思います。
よく間違われるようだが、藤原は創業経営者ではない。
1963年に慶應大学商学部を卒業した藤原は実家の会社を経て、70年、島村呉服店に入社した。オーナー家とは何の縁戚関係もない。
そのころ企業拡大を夢見ていた島村オーナーは、若いのに図抜けて優秀だった藤原にほれ込んだ。34歳で取締役、40歳で専務、49歳で社長。
藤原語録
事業を大きくしたいなら 同族経営はやめましょうと私は言ったんです。同族企業は同族企業のキャパシティを超えられない。
そしたら島村オーナーは「いいよ」って言うんです。それで最初から株式を社員にみんな渡しちゃって、創業者の持ち株を49.8%までにしたんです。
同族企業じゃないと、留保金課税がないんです。これは成長に対してものすごく大きいんでね。
*経営者が留保金課税に言及したのは始めて読んだ。
量販店は食品で売上を取り、衣料品で儲けを出しているらしい。ならば衣料品だけやればいい。衣料だけで集客力がないなら、低い坪効率でも利益が出る仕組みを作ればいいと、やってきたらひとつの形ができた。
食品スーパーなどと離れて単独店でやっても、これが意外と計算どおりにいく。じゃあこのパタンーンでチェーン化しようと
店はまねても仕組みはマネできない。
だから藤原は、アパレル小売業を単なる商いから、産業に変えて見せた男と言える。
藤原流出店の黄金率
たとえば、大宮の周辺に店を5店舗つくるなら、それぞれの範囲で中心部に向かう上り方向に当たる場所に店を作ったほうがいい。もっと細かいことを言えば、ある立地で例えば上り方向で道がカーブしていたら、インコースは見えづらいから、アウトコース側にだそう、というふうに出店の基準を決めていったんです。
アメリカの田舎にウオールマートという会社があって、最近なんか話題になっているということで、カンザスシティに見にいったんですよ。
現地の地図を見て、「(店が)どこにあると思う?」ってみんなに言ったわけ。そしたら(自分達の基準から推察して)「ここだよな」って。
それでレンタカーで見に行ったら全部、そのとおり、そこにあった。「チェーンストアとはこういうもんだ」と思った。単純ですよ。
人口の小さい田舎町があって、その真ん中に高速道路がとおるわけがない。高速道路はその端を通るに決まってるんです。でその高速道路の出口近くに全部ウオールマートの店があったんです。そこなら店も作りやすいし、お客様も便利でしょう。
ウオールマートはカンザスシティの中心地にはでないわけ。その外周線のさらに外側の線で、環状線の中にも入ってなかった。
立地の原則はどんな商売でも同じだと思います。
いわゆる派手に行きたくないんです。出きるだけブームは少ないほうがいい。
月泉 博 シーズ代表取締役
しまむらにはユニクロのような派手さはない。その代わり抜群の安定性がある。決して無理をせず、着々と売上を伸ばし、気がついたら圧倒的な高みに上り詰めていた、という感じだ。
井本省吾(日経新聞編集局)
あの会社には、仕組みが整っている。店舗運営や商品調達、物流など業務別にマニュアルが9冊あり、先月まで福島の店にいた人が千葉の店に来ても、すぐその日から仕事ができる。
それは、店がどこもかしこも同じにつくってあるからです。そもそも日本の総合スーパーは大店法の影響のために、どこでも店の形が違ってきて、チェーンストア的じゃないのですが、しまむらしっかり標準化されている。
しかも出店はすべて郊外で、田舎の田んぼの真ん中みたいなところにつくるわけですから、思い通りの土地が取得しやすく、結果標準化しやすかった。
田村洋三 ストアプランナー
しまむらが嫌いというお客も多い。洗練されたセンスを求めるお客さまは、まずしまむらには行かない。しかし好きな人はリピーターとなる。
いつも店に来てくれるお客の生活に必要な商品を届ける仕事が小売業である。だれのためでもない。店はお客のためにある。
*店にお金をかけず標準化し、コストを下げ、都会に走らず、地味に地味に稼いでゆく。都会に住む人間にはまったく知られないところで、しまむらはしっかり稼いでいた。
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